2013年12月03日

国立国際美術館「貴婦人と一角獣展」

〈2013年美術展感想22展目〉
貴婦人と一角獣展
会場:国立国際美術館
会期:2013.07.27-10.20
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 その存在を知ってから一度実物を見てみたいと思っていた美術作品のひとつがフランス国立クリュニー中世美術館に収蔵されている≪貴婦人と一角獣≫と題された6枚のタピスリーです。このフランスの至宝とも言うべきタピスリーが日本で鑑賞出来る日が来ようとは夢にも思っていませんでした。まさに僥倖であります。自分が訪れたのは大阪開催の舞台となった国立国際美術館。開館を待ち切れずに30分前から待機したこともあって当日の最初に入場することが出来ました。実物を目の当たりにした≪貴婦人と一角獣≫のタピスリーは素晴らしいの一言。一枚一枚のタピスリーに吸い込まれるように立ちつくしてしまいました。≪触角≫≪味覚≫≪嗅覚≫≪聴覚≫≪視覚≫という人間の五感が描かれたタピスリーの解釈は納得出来るだけの説得力に満ちています。そして,それら5枚のタピスリーを受けて≪我が唯一の望み≫と題された6枚目のタピスリーが意味するものは未だに謎を秘めているとのこと。ミルフルールと呼ばれる千花文様は眼にも鮮やかであり,一角獣と獅子に傅かれた貴婦人の姿も実に麗しいものがあります。各タピスリーに織り込まれた無数の花や動物の姿も精緻であり,鑑賞していて全く飽きを感じさせません。今回の美術展の特徴はあくまでも主役である≪貴婦人と一角獣≫の6枚のタピスリーへの理解を深める為に他の展示が為されているということ。展示数そのものはそれ程多くはないのですが,≪貴婦人と一角獣≫を楽しむ上での補完となる展示ばかりで興味深いものがありました。とにかく≪貴婦人と一角獣≫の6枚のタピスリー全てを実際に鑑賞に出来たというだけでも自分にとっては非常に意義深い美術展でありました。いつか,また,今度はクリュニー中世美術館でこの≪貴婦人と一角獣≫に再会したいものであります。このような機会が与えられたことを感謝せざるには得られません。本当に想い出深い美術展でありました。

 余談。普段は利用しないのですが,今回に限っては音声ガイドを利用しました。池田秀一による語りと池田昌子による解説が雰囲気を高めて素晴らしい。この音声ガイドもこの美術展の素晴らしさを増している要因のひとつかと思います。この配役を決めた人を抱きしめたくなってしまいますね。
posted by 森山 樹 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想