2014年03月30日

三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル」

〈2014年美術展感想3展目〉
ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900
会場:三菱一号館美術館
会期:2014.01.30-05.06
観覧料:¥1,600

 東京の三菱一号館美術館で開催中の「ザ・ビューティフル」を観賞してきました。19世紀末英国の美術潮流のひとつ唯美主義に焦点を当てた美術展です。時折しくも,同じく東京の森アーツギャラリーではこの唯美主義と重なり合う存在であるラファエル前派を扱った美術展が行われています。これは19世紀末英国の所謂ヴィクトリア朝時代を愛する自分としてはどちらも絶対に観賞しなければならない美術展であったといえます。その期待に存分に応える素晴らしい美術展でありました。唯美主義が掲げる「芸術のための芸術(Art for Art’s Sake)」の言葉通りに美学を追求した美術作品の数々は息を呑む美しさ。絵画だけではなく家具工芸品の展示も目を楽しませてくれました。また,会場がヴィクトリア朝と同時代に建てられた三菱一号館美術館ということがあまりにも似つかわしく思えます。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティやエドワード・バーン=ジョーンズ,アルバート・ムーア,オーブリー・ビアズリーらの作品は特に好み。また,アーツ・アンド・クラフツ運動を始めたウィリアム・モリスによる工芸品の装飾性もたまらないものがあります。また,文学の立場としての唯美主義者であるオスカー・ワイルドに関する展示があったのも嬉しい。この唯美主義を代表するオスカー・ワイルドへの誹謗が唯美主義の退潮を招いたのは皮肉でありましょう。美しく装丁された書物は書痴としては羨ましい。しかし,やはりアルバート・ムーアの≪真夏≫やフレデリック・レイトンの≪パヴォニア≫といった唯美主義絵画の美には圧倒されます。ジョージ・フレデリック・ワッツの≪孔雀の羽を手にする習作≫の官能性も素晴らしい。オーブリー・ビアズリーの≪クライマックス−サロメ≫も大好きですねえ。今回の展示はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の収蔵品を中心とする約140点。いつかは英国本国で唯美主義を掲げる芸術作品を堪能したいものであります。本当に満足度の高い美術展でありました。可能であればもう一度行きたいけれど,ちょっと日程的に厳しそうであります。久しぶりに図録を購入したくなりました。
posted by 森山 樹 at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想