2008年05月18日

マリー・ローランサン展

生誕125周年記念 マリー・ローランサン展
サントリーミュージアム[天保山

 GWに行った展覧会の最後は大阪港にあるサントリーミュージアム[天保山]で開催されていたマリー・ローランサン展です。訪れたのは15時過ぎでしたが,傍の海遊館は未だに人の列が出来ていました。自分にはとても真似できません。
 ちなみにこの美術館は訪れるのが初めて。内装も外観も綺麗な素敵な美術館でした。好み。

 マリー・ローランサンの絵を実際に見たのは昨年の松坂屋美術館での美術展が初めてですが,その淡いパステルカラーの夢見るような少女絵にすっかり魅せられてしまいました。今回はそのマリー・ローランサンの回顧展ということで非常に楽しみにしていました。
 GW中ということで,こちらも人混みは覚悟していたのだけれど,案外に空いていたので拍子抜け。自分の調子でゆっくりと堪能することが出来ました。展示は4つの章に分けられた90点余り。質量ともに十分です。
 最初はキュビズムの影響が如実に表れた〈青春時代とエコール・ド・パリ〉。この時代の筆致はあまり好みではありませんが,「チェロと二人の姉妹」などには既にローランサン特有の色調が表れています。己の作風を確立する上での過渡期と言えるのでしょう。スペイン亡命時代の展示〈画家としての自立と亡命〉では女性の憂いを帯びた表情が印象的。この当時のローランサンの心象を窺わせます。淡い中間色の色調はこのころまでにほぼ確立されている様子。「三美神」や「白い羽根飾りの黒帽子をかぶった乙女」が心に残りました。亡命生活を終え,パリに戻ってからの〈ローランサンの作風の確立〉はローランサンの作品の特徴的な甘くて優美,そして清楚でありながらも仄かに官能を覗かせる作品ばかり。幻想的な神秘性に溢れていて,やはりこの時代の作品が一番好みですね。とりわけ「少女たち」と題された一連の挿絵には心奪われます。また,ギリシア神話に題材を採った「レダと白鳥」のしどけないレダの姿は非常に官能的。艶やかさに魅了されてしまいます。ポスターにも使用されている「らっぱをもって」も勿論大好きな作品。〈円熟期から晩年へ〉では色調が強くなり華やかな印象が増します。赤や黄色などそれまであまり用いられなかった色彩が使われているのも特徴でしょうか。鮮やかな色彩が魅力的な「三人の乙女」も素敵ですが,個人的には「小動物物語集」と題された一連の挿絵が好みです。
 女性の美しさを描き続けたローランサンの作風はどこか岩崎ちひろの作風と被る気がします。白い頬を朱に染めた清楚さの中に垣間見せる官能が共通しているのかな。詩情に溢れ,甘くまどろむ筆致はまさに女性作家だからこそ到った境地なのではないかと思います。いずれにしても本当に充実した展示で心から満足しました。長野県茅野市のマリー・ローランサン美術館もいつか必ず訪れたいものです。
posted by 森山 樹 at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/15041668
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック