2013年05月26日

「リヒテンシュタイン」感想

〈2013年美術展感想3つめ〉
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝
会場:京都市美術館
会期:2012.03.19-06.09
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 世界で6番目に小さい国リヒテンシュタイン侯国は優れた美術品蒐集活動においても名を知られています。500年以上の長きに渡って集められたヨーロッパ美術の名品は英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションでもあります。今回はそのリヒテンシュタイン家の誇る美術展を鑑賞出来る絶好の機会と言うわけで絶対に見逃すことは出来ない美術展でありました。

 京都市美術館もすっかり馴染みの美術館ですね。いつもなら京都駅でレンタサイクルを借りるのですが,今回は最寄りの地下鉄駅を利用しています。他の美術館も回るなら自転車の機動力の方が便利なんだけどね。京都駅から歩くにはそれなりの距離があるからなあ。暑くない時期なら散歩がてら歩くのも悪くなさそうですけれども。

 今回の展示は全部で88点。ルーベンスやラファエロ,レンブラントといった高名の画家の作品も多く,かなり見ごたえのある展示でありました。また,リヒテンシュタイン侯爵家の夏の離宮で展示されている様式を再現したバロック・サロンという一角も実に興味深い。美術品のみならず室内装飾と調和した展示風景が居ながらにしてリヒテンシュタインの雰囲気を醸し出してくれます。建築と芸術の総合芸術として展示方法そのものに工夫がなされていることがよくわかりました。壮麗なバロック空間が心をとらえて離しません。暫し,放心してしまいます。展示物は名画が中心ではありますが,美術工芸品も楽しむことが出来ます。絵画で一番のお気に入りはルーベンスの「マルスとレア・シルヴィア」に尽きます。今更言うまでもありませんが,やはりギリシア神話やローマ神話,聖書を題材にした作品は大好きなのですよね。グイド・レーニの「マグダラのマリア」やアブラハム・ブルマールトの「メルクリウスとアルゴスとイオ」もたまらない作品でありました。また,フランドルの寓意画も大好物のひとつ。ヤン・ブリューゲル2世の「死の勝利」の雰囲気は非常に好み。逆に肖像画にはそれ程関心を示さないのですが,ルーベンスが自らの愛娘を描いた「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」は愛情に溢れた美しさに息を呑みました。リヒテンシュタイン侯爵家が収蔵するルーベンス作品は30余点ということですが,そのうち8点を鑑賞することが出来る機会と言うのはなかなか得難いですね。尤も,東京会場のみの展示品も相当数あったようなのが残念ではありますが。また,アンソニー・ヴァン・ダイクの「マリア・デ・タシスの肖像」の凛とした美貌も大変魅力的。美術工芸ではバロック・サロンに展示してあったヨアヒム・フリースの「ぜんまい仕掛けの酒器」が大変素敵。牡鹿に乗った狩猟の女神ディアナを象った銀器です。ヨハン・アンドレアス・テーロトの「万年暦」も良かったなあ。このあたりも如実に自分の趣味性を表しているように思えます。

 非常に濃密な美術展で鑑賞している間に過呼吸気味になってしまいそうになるのを感じました。此処まで心地良い疲労感を味わえる美術展と言うのもそうはありません。フランドルやイタリアのルネッサンスからバロック期の作品が多いというのも自分の趣味嗜好と合ったということもあるのでしょう。いつかはリヒテンシュタイン公国に足を運びたいものですねえ。なかなか難しいところではありますが。せめて,日本で鑑賞出来るこういった機会だけは極力逃さないようにしたいと思います。
posted by 森山 樹 at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想
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