2007年12月24日

フィラデルフィア美術館展

フィラデルフィア美術館展−印象派と20世紀の美術
東京都美術館

 12/15に行ったフィラデルフィア美術館展の感想です。やたらと長くなってしまったので,今回から追記形式にしてみました。もう少し短い文章でまとめたいところですが,文才が欠如しているために冗長になってしまいます。これは以降の課題かな。
 先のエントリもいずれこの形式に直していくつもりです。時間の余裕があるときにでもと思っています。いつになるかは分かりませんが。

 9月以来,今年2回目の東京都美術館を訪れてきました。目的は開催中のフィラデルフィア美術館展です。2008年もルーヴル美術館展やフェルメール展なども予定されているようなので,来年もきっと行くことになるのでしょう。
 東京都美術館がある上野公園には朝8時30分頃到着。上野東照宮など散策した後,開館と同時に入館してきました。それなりの鑑賞者でしたが,比較的ゆっくりと見られたのは良かったです。やはり,美術展は自分のペースでみたいですから。人混みもそれほど得意ではないのです。
 最初は〈写実主義と近代市民生活〉と名付けられた19世後半の絵画が展示されてあるエリアから。マネやクールベよりもコローやブーダンの絵に心惹かれました。特にブーダンの「トゥルーヴィルの眺め」や「エトルタの浜辺」は空と雲が独創的で非常に好み。また,マネによる「キアサージ号とアラバマ号の海戦」はその名の通りの海戦を描いた絵で非常に格好いい。あまり海戦を題材に採った絵画というのは見たことがなかったのですが,迫力があり楽しめました。
続いては,おそらくこの美術展の中心であろう〈印象派とポスト印象派〉と〈キュビスムとエコール・ド・パリ〉という2つのエリア。個人的にはそれほど関心のある分野というわけではありません。それでも,例えばピサロやモネといった印象派を代表する画家の絵には引き込まれるものを感じます。ピサロの「夏景色,エラニー」はその中でも特に好きな絵。いかにも印象派といった感じの田園風景に心が和みます。また,モネも全般的に淡い色彩が美しく,「アンティーブの朝」の穏やかな朝の光が温かく映えていました。ルノワールの「ルグラン嬢の肖像」や「大きな浴女」も好みの作品。女性を書かせれば,やはりルノワールでしょうか。一方で,はっきりと苦手なのがセザンヌやゴッホなどポスト印象派の作家群。セザンヌの「ジヴェルニーの冬景色」は未完だそうだけど,これは好み。他は全てが苦手な部類。よく分らないというのが正直なところ。分からなさ加減では次のキュビスムの方が突き抜けているんだけど,これはこれで理解できないなりに楽しめたりもします。ピカソの作品なんて,迫力は感じるんだけど,絵としての良さはまるで分かりません。たぶん,見る側に美術的センスがないのが原因なんだろうけど,それでも面白さを感じるのがピカソの凄さなのかな,と。特に大作「三人の音楽師」は面白かったです。あとは,マルセル・デュシャンの「チェスプレイヤーの肖像」とか。ルオーやブラック,マティスなどを経て抽象主義絵画となると再び大好きな部類となります。カンディンスキーの「円の中の円」とかパウル・クレーの「魚の魔術」とか。特に「魚の魔術」は空間に浮かぶ魚が宇宙的な不思議な空間を醸し出しています。思わず,この絵が描かれたクリアファイルを買ってしまいました。大好きなシャガールの絵も2点の展示がありましたが,それほど強い印象ではなかったかな。
最後の2つは〈シュルレアリスムと夢〉と〈アメリカ美術〉と銘うたれたエリア。超現実主義な絵は大好物なのですが,展示は僅かに4点だけ。しかし,そのどれもが強烈な印象を残すものばかりで存分に楽しめました。とりわけ,マグリットの「六大元素」とキリコの「占い師の報酬」がたまりません。ともに不思議な感覚が魅力的なのだけど,「六大元素」はマグリットが好んで描いたモチーフを集めた作品だそうで,これは確かに六大元素だと感心することしきり。キリコの「占い師の報酬」は過去と現代が交差する不思議な雰囲気が味わえます。やっぱりいいよね。唯一2点飾られていたジョアン・ミロは多分初めて見る画家だと思うけど,どこか漫画っぽい作風が印象的でした。「馬,パイプ,赤い花」は雑然とした中にある奇妙な一体感を覚えます。最後に展示のあった〈アメリカ美術〉は今までほとんど触れたことがない分野。絵画に限らず,アメリカの芸術ってそれほど興味がないんですよね。意識して鑑賞したのは初めてだったけれど,非常にアメリカらしい雰囲気の作品ばかりという気がしました。この辺りにも国民性が現れるのかな,と。ホーマーの「狩人と犬」やエイキンズの「帆走」は荒々しい野性味に溢れた荒野を想起させるまさにアメリカっぽい作品。ダニエル・ガーバーの「室内,朝の光」はその名の通り,光の表現が美しく。ステットハイマーの「ベンデルの春のセール」は華やかで幻想的な女性的な作品。そして,このエリアで一番気に入ったのがドロテア・ダニングの「誕生日」。幾重にも開かれた扉とその前で佇む半裸の美女。その腰からは枝が生えており,足元には翼のある猿にも似た生物が蹲っている。どこか怪奇な。けれども引きつけられる作品です。ラヴクラフト的な未知の幻想感が素敵でした。
フィラデルフィア美術館に収蔵されている作品の展覧会というだけに。様々なジャンルに跨っており散漫な印象は拭えません。けれども,それぞれのジャンルのいいところだけを摘み食いした,見所の多い展覧会とも言えるように思います。個人的には今まで知らなかったドロテア・ダニングという作家を知ることができたという点だけにおいても意義がある美術展でした。勿論。マグリットやキリコ,それにピサロやモネ,ルノワールの絵も楽しんだんだけどね。迷った挙句に図録は買わず。少しだけ後悔しています。
posted by 森山 樹 at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想
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