2009年03月29日

アンドリュー・ワイエス 創造への道程展

アンドリュー・ワイエス 創造への道程展
愛知県美術館

 愛知県美術館で開催されていた「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」展を鑑賞してきました。約2か月前に。鑑賞してから1週間以内に感想を書くという今年の目標は既に頓挫しています。何ともならないなあ。もう少し気合いを入れることにしましょう。

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2009年02月04日

モネ「印象 日の出」展

モネ「印象 日の出」展
名古屋市美術館

 名古屋市美術館で開催されているモネ「印象 日の出」展を鑑賞してきました。この美術展は名古屋市美術館だけでの開催とのことです。印象派はそれ程好みではないのですが,モネの作品には妙に心惹かれるのが不思議。やっぱり好きな画家と言えるのかもしれません。
 今年の目標は鑑賞後一週間以内に感想を書くこと。いつまで続くかは分かりませんが。

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2008年10月19日

フェルメール展

フェルメール展−光の天才画家とデルフトの巨匠たち
東京都美術館

 8/29に東京都美術館で鑑賞したフェルメール展の感想です。フェルメールは昨年12月にも国立新美術館で鑑賞していますが,今回は一挙に7点の展示があるということで楽しみにしていました。深夜バスでの東京行きということで体調万全とは言い難かったのが残念ではあります。会期はまだあるので叶うならば,もう一度鑑賞したいものです。
 鑑賞してから感想を書くまでにだいぶん時間が経ってしまいました。反省。


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2008年09月14日

古代エジプトの美展

イートン・カレッジ/ダーラム大学所蔵 古代エジプトの美展
名古屋松坂屋美術館

 古代エジプトに関する展覧会は何度も行っていますが,その都度改めて心惹かれるものを感じます。とりわけ,大好きな猫神バステトに関する出展は幾度見ても飽きることを知りません。
 ちなみにイートン・カレッジは英国随一の名門校。ウィリアム,ヘンリーの両王子の母校としても知られています。英国の伝統の礎とも言えるでしょう。


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2008年08月26日

チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展

チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展
大丸ミュージアム・梅田

 中国史は大好きなのですが,その中でも特に北方草原遊牧民族の歴史にはまた違った面白さがあります。特に好きなのが鮮卑と呼ばれた民族。蘭陵王高長恭を輩出した北斉もこの鮮卑族の国と言われています。他にも突厥とか匈奴とか契丹とか民族名を聞いただけで胸躍るものを感じてしまいます。

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2008年06月29日

クロード・モネの世界

クロード・モネの世界−ふりそそぐ陽光,色彩のメッセージ
名古屋ボストン美術館

 印象派は自分の守備範囲としては微妙なところですが,モネやコロー,ルノワールは素直に好み。ゴーギャンやゴッホ等,いわゆるポスト印象派に至るとはっきりと苦手意識を抱いてしまいます。
 今回はモネを中心にした印象派展覧会ということで鑑賞してまいりました。


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2008年05月18日

マリー・ローランサン展

生誕125周年記念 マリー・ローランサン展
サントリーミュージアム[天保山

 GWに行った展覧会の最後は大阪港にあるサントリーミュージアム[天保山]で開催されていたマリー・ローランサン展です。訪れたのは15時過ぎでしたが,傍の海遊館は未だに人の列が出来ていました。自分にはとても真似できません。
 ちなみにこの美術館は訪れるのが初めて。内装も外観も綺麗な素敵な美術館でした。好み。

感想
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2008年05月14日

天馬−シルクロードを駆ける夢の馬−

天馬−シルクロードを駆ける夢の馬−
奈良国立博物館

 奈良国立博物館も行くのは初めてです。今回は例によって特別展のみの鑑賞になってしまいましたが,常設展もゆっくりと訪れたいものです。仏教美術は専門外なのだけど,見ていて楽しいのですよね。
 それにしてもGWの奈良は人出が多かったです。日差しも強かった上に体調も良くなかったので難儀しました。展示物に集中する為にも体調管理は大切ですね。反省。

感想
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2008年05月11日

絵画の冒険者 暁斎 KYOSAI

絵画の冒険者 暁斎 KYOSAI−近代へ架ける橋−
京都国立博物館

 2月の九州国立博物館に続いて,京都国立博物館も訪れてきました。この後で奈良国立博物館にも行きましたので,残すは東京国立博物館だけとなります。今回は特別展だけの鑑賞だったので,次回に訪れるときはゆっくりと常設展示も見たいものです。
 今回は近鉄京都駅から歩いたのだけれど,京阪電車を用いるのが一番良さそう。次に行くときは丹波橋から乗り換えることにしましょう。

感想
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2008年04月06日

大ナポレオン展

大ナポレオン展−文化の光彩と精神の遺産
名古屋市博物館

 名古屋には6年住んでいたのに名古屋市博物館に行くのは初めて。今回の展示は普段市民創作の展示に使われているギャラリーでの公開ということで,いささか地味な雰囲気でした。好みの展覧会だったのに勿体ない。御蔭でゆっくりと見ることは出来ましたけれど。
 公式サイトも見つけることができませんでした。妙に不遇な展覧会に思えます。大ナポレオン展を名乗るなら,それなりに宣伝をすればいいのにね。
感想
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2008年03月04日

京都五山 禅の文化展

京都五山 禅の文化展
九州国立博物館

 2月の半ばに福岡県太宰府市の九州国立博物館へ行ってきました。主なる目的は太宰府天満宮だったものの,こちらも十分に楽しみ。場所は太宰府天満宮の裏手にあたります。ちょうど,受験シーズン真っただ中ということもあって,人出が相当ありました。落ち着いて鑑賞できなかったのが残念です。
 ちなみに京都五山とは南禅寺を別格とした天龍寺,相国寺,建仁寺,東福寺,万寿寺のことをいいます。

感想
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2008年01月20日

巨匠と出会う名画展

川村記念美術館所蔵「巨匠と出会う名画展
名古屋松坂屋美術館

 今年初の美術鑑賞。
 川村記念美術館は大日本インキ株式会社が収集してきた美術作品を一堂に会した,千葉県佐倉市にある私立の美術館です。現在はリニューアル工事のために閉館中。その収蔵品が名古屋の松坂屋美術館に巡回展示されているということで鑑賞してまいりました。

感想
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2008年01月02日

フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展

アムステルダム国立美術館所蔵
フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展

国立新美術館

 12/15にフィラデルフィア美術館展,アンカー展に引き続き鑑賞した美術展の感想です。それにしても一日に巡る展覧会は3つ程度が限界ですね。最後のほうは感覚が麻痺してしまうのを感じます。

感想
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2007年12月24日

アンカー展

アンカー展−故郷スイスのぬくもり
東急Bunkamuraザ・ミュージアム

 下のエントリであげたフィラデルフィア美術館展に引き続いて鑑賞したアンカー展の感想です。まるで知らない画家だったのですが,美術展広告のポスターにすっかり心を奪われてしまいました。こういう形で巡り合えるというのも嬉しいものです。

感想
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フィラデルフィア美術館展

フィラデルフィア美術館展−印象派と20世紀の美術
東京都美術館

 12/15に行ったフィラデルフィア美術館展の感想です。やたらと長くなってしまったので,今回から追記形式にしてみました。もう少し短い文章でまとめたいところですが,文才が欠如しているために冗長になってしまいます。これは以降の課題かな。
 先のエントリもいずれこの形式に直していくつもりです。時間の余裕があるときにでもと思っています。いつになるかは分かりませんが。

感想
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2007年12月11日

ロートレック展

ロートレック展−パリ,美しい時代を生きて
愛知県美術館

 愛知県美術館で開催中のロートレック展を鑑賞してきました。愛知県美術館を訪れるのは久しぶりです。美術館が入っているのは愛知県芸術文化センター。クラシックやジャズのコンサートもよく開かれる場所です。交響曲ドラゴンクエストのコンサートも何年か前に行きましたね。交通の便もよく,好きな美術館のひとつです。今回は偶々美術館前のフロアでミュゼットの演奏会が行われていました。普段は耳にしない類の音楽なのでなかなか楽しめました。こういう趣向もいいものです。
 トゥールーズ=ロートレックは19世紀末,ベル=エポックと呼ばれた時代に活躍した芸術家です。個人的にもっとも好きな時代を生きた作家ではあるのですが,それほど関心がなかったのも事実。絵画に関しては印象派からキュビズムに至る流れがあまり好きではないのです。ですから,この時代というのはあまり重要視していなかったのですが,今回のトゥールーズ=ロートレック展は驚くほどに楽しむことができました。展示されているのはポスターやリトグラフを中心に300点余。見応え充分です。他にも同時代の他の画家の作品やトゥールーズ=ロートレックの作品のモチーフとなったダンサーたちの映像も参考として展示されているのも嬉しいところです。
 特にポスターはインパクトが強い作品が多かったです。どこかで見た記憶のあるものも幾つか。また,風刺と諧謔精神に満ちた雑誌絵は個人的に好み。ドーミエあたりの風刺画に通じるものを感じます。後で調べてみたら,やはり影響を強く受けているみたいですね。女性絵,特にダンサーや女優,娼婦を描いた作品が多いのもロートレックの特徴です。中にはサラ・ベルナールなんて自分でも名前を知っている超大物の絵もありました。ただし,あまり美化した作品は多くなく,むしろ意図的に醜く描いた作品も多いみたい。その為,モデルが激怒したこともあるのだとか。女性絵の中で特に心惹かれたのは『赤毛の女(身づくろい)』と題されたもの。様々な種類の青と燃えるような赤毛の対比が美しい作品です。日常における一瞬を切り取った構図が素敵。ポスターやリトグラフ以外に結構な数の素描も展示されていましたが,特にその素描において構図の素晴らしさがよく分かるように思います。ほんのごく下書きなのに,心に響くものがあります。上手く表現することはできないけれど,こういったところに才能が表れているのかな,と。
 熱狂と退廃に満ちた当時のパリ,特にモンマルトルの流行・風俗が存分に伝わってくる美術展でした。19世紀中葉から第一次世界大戦前夜に至る,雑然とした,けれども活気に満ちた時代は自分にとってある種の憧れを感じます。その時代の大衆文化を代表する芸術家の美術展を心行くまで楽しませていただきました。
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2007年10月22日

レンブラント版画展

レンブラント版画展−呼び交わす光と闇−
名古屋ボストン美術館

 名古屋ボストン美術館で開催中のレンブラント版画展を鑑賞してきました。名古屋ボストン美術館は綺麗な施設で大好きな場所なのですが,いつ行っても人が少ないのが激しく不安。閉館の危機も伝えられていますが,何とか乗り越えて欲しいものです。
 レンブラントの絵は散発では見たことがありますが,まとまった展示を見るのは初めて。特に今回は大好きな版画に絞った展示ということで楽しみにしていました。展示されていたのは,レンブラントのごく初期の版画から晩年の作品までの118点と幾つかの参考作品。その中には「ラザロの蘇生」の銅原版や異なる素材に印刷された「説教をするキリスト」,また手を加える前後の「この人を見よ(エッケ・ホモ)」,あるいは同じ原版から異なるインクで刷った「明かりの下での牧人たちの礼拝」など,版画ならではの興味深い展示がされており,観賞する人を飽きさせません。展示順は初期から晩年に向かって時系列に沿った三部構成という正統なもの。
 レンブラントと言えば光の使い方に非常に特色のある油彩画が有名ですが,その手法は版画においても遺憾なく発揮されています。油彩画と版画,分野は異なっても作家の採る手法はやはり同じであるということなのでしょう。また,自画像が多いのもレンブラントの特徴ですが,今回の展示でも自画像は多くありました。個人的には肖像画よりも聖書やギリシア神話を主題に採ったもの,あるいは風景画のほうが好みではあるのですが,それでも細部まで書き込まれた美しい版画には引き込まれずにはいられません。それでも,やはり,惹かれるのは聖書やギリシア神話を主題に採ったもの。特に聖ヒエロニムスを描いた一連の作品は大好きで,思わずどこにライオンがいるのか探してしまいます。また,「夜景として表されたエジプト逃避」や「羊飼いたちの礼拝」,「三王の星」など濃い闇が作品全体を覆った作品に心奪われ,吸い込まれそうになる感覚を覚えます。“汝が深淵をのぞく時、深淵もまた汝を見るのだ”というニーチェの言葉を思い出しました。それから,レンブラントのエッチングの最高傑作「説教をするキリスト(百フルデン版画)」は確かに素晴しいものでした。意識した傑作というあたりにレンブラントの凄みを感じます。
 今回の展覧会で最も気に入ったのは「秘伝を追求する学者(ファウスト)」と「三本の木」「シックスの橋」あたり。「秘伝を追求する学者(ファウスト)」は中空に浮かんだ魔方陣の輝きが闇を払う美しさを見せています。主題としても勿論好き。ちなみに魔方陣の中の文字の意味は解明されていないのだとか。そこにどのような真理が示されているのか,興味深いです。「三本の木」と「シックスの橋」は風景画。濃密な宗教画は大好きなのですが,見続けるといささかの疲労感を覚えてしまいます。対して,風景画は心が落ち着き,安堵感を覚えます。よく見ると小さく人物の姿が描かれているのも遊び心があって好き。特に「シックスの橋」はシンプルな作品ではありますが,それ故に鮮やかな手腕を感じます。また,この絵にまつわる逸話も好き。
 黒と白の二色のみの世界なのに豊かな色彩を感じるのは,陰翳の使い方が非常に効果的だからなのでしょう。レンブラントの版画ばかりをこれだけの数まとめて鑑賞できる機会というのもあまりありませんので,その意味でも非常に価値のある展覧会だったように思います。土曜日の午前中にも関わらず鑑賞者の入りは芳しくないようで残念でしたが,反面自分のペースでゆくりと見ることができたのは良かったです。
 分館でもこの水準の展覧会をしてくれるのだから,本家のボストン美術館はさぞ素晴らしい展示物であふれているのでしょうね。いつかは行ってみたいものです。
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2007年09月13日

ヴェネツィア絵画のきらめき

ヴェネツィア絵画のきらめき〜栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ
東急bunkamuraザ・ミュージアム

 東急Bunkamuraザ・ミュージアムを訪れるのは昨年のエッシャー展以来となります。この美術館で開催される美術展は自分の嗜好にあったものばかり。今年もプラハ国立美術館展やルドン展などが開催されており,行けなかったのが悔やまれます。今回は満を持しての「ヴェネツィア絵画のきらめき」展を鑑賞してきました。
 渋谷の,それも開催直後の土曜日ということで,相応の人出を覚悟していったのですが,開館の15分前に到着した時点で,自分が一番乗りでした。なんだか拍子ぬけ。結局,開館時間になっても並んでいるのは20人程度でした。人気がないわけでもないのでしょうけれど,まだ様子見といった感じの人が多いのでしょうか。なにはともあれ,思いがけなくゆっくりと自分のペースで展示を鑑賞することができました。こういうのは嬉しいです。
 展示は宗教画,肖像画,都市景観画の三部構成。どれも自分の好みです。宗教画ではヴェネツィア派の巨頭ティツィアーノとティントレットの作品に目を奪われます。殊にこの美術展のポスターやチケットにも扱われているティツィアーノの「洗礼者ヨハネの首をもつサロメ」の美しさは格別。端正な女性の姿と,彼女が持つ聖者の首との構図があまりにも素敵です。サロメが身に纏う真紅の色彩も,その鮮やかさに息をのんでしまいます。時間を切り取ったような静寂に満ちた緊張感に見惚れます。宗教画ということでキリスト教,とりわけ聖書を題材にとった作品が多いのですが,パルマ・イル・ヴェッキオの「未完の風景の中のウェヌス」などギリシア神話から材をとった展示もありました。西洋絵画を鑑賞するときにキリスト教とギリシア・ローマ神話は避けることができません。ある程度の知識は持っているのですが,絵画を真に楽しもうとするならば,より一層の深い理解が必要のようです。肖像画の展示は大きいものから小さいものまで様々。特にヴェネツィアの統領を輩出したコルナーロ家のフランチェスコ,ジョヴァンニ,マルコの3名を描いた肖像画は非常に大きなもので迫力十分。見応えがありました。残念だったのは肖像画に描かれている人物がいずれも自分の知識にはなかったということ。宗教画と同様に肖像画も描かれた人物の背景を知っていれば,より楽しめると思うのです。それでも,ヴェネツィア統領の系譜図なんて代物もあって面白かったです。ヴェドゥータと呼ばれる都市景観画は18世紀に流行したものですが,当時のヴェネツィアの景観,風俗をそのままに表しており,その華やかな雰囲気が伝わってきます。特にカナレットの手による水の都の景観が本当に素敵なの。写実的な絵画というものは写真以上にリアルに思えるものですが,当時のヴェネツィアの姿を容易に想像することができました。ヴェネツィアの美しさは“アドリア海の真珠”と喩えられることもありますが,その美名が虚飾ではないことが実感できます。ヴェドゥータはヴェネツィアを訪れた観光客に人気があったということですが,それも宜なるかな。ロンギが描いた貴族社会の風俗画も魅力的ではありましたが,より強い印象を残したのはカナレットやベロットらの都市景観画でした。風景画は大好きです。
 ティツィアーノやティントレットを除けば,案外地味な展示にも思える今回の美術展ですが,十二分に満足することができました。やはり,落ち着いて自分のペースで鑑賞することができたのは大きいです。もう少し展示が多ければ,なお良かったようにも思うけれども。東急bunkamuraザ・ミュージアムは本当に好きな美術館です。次回の展示は12月からのアルベール・アンカー展。実はよく知らない画家だったのですが,何気に好みの作風のようなので,こちらも是非行きたいと思います。Bunkamuraザ・ミュージアムのサイトに載っている「少女と二匹の猫」があまりにも素敵なんだもの。
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2007年09月10日

インカ・マヤ・アステカ展

失われた文明「インカ・マヤ・アステカ」展
国立科学博物館

中米から南米にかけて栄えた3つの文明−インカ・マヤ・アステカの遺物を中心に据えた美術展です。この3つの文明に関しては通り一遍のことしか知らないために,非常に興味深く鑑賞することが出来ました。単純な展示にとどまらず,館内の装飾も3つの文明を意識したものとなっており,雰囲気を盛り上げるのに役立っていました。こういう配慮は嬉しいところ。
それぞれの文明ごとに展示が行われていました。まずはマヤ文明から。マヤ文明に限らず,この3つの文明は巨石を中心とした文化が発達したのですが,巨石に彫られた壁画そのものが展示されています。実物の有する説得力は筆舌に尽くしがたいものがあります。迫力が本当に凄まじいのです。これを見ただけでも十分に満足できたと思います。それから,石仮面やヒスイの仮面の展示もありましたが,某漫画の名台詞を思い出して人間をやめたくなります。また,ポポル・ヴフの内容が描かれた土器も見ることができました。次のアステカ文明はマヤ文明とかぶる部分も多くあって,それほど印象が強かったわけではありませんが,トラロック神像を見ることができて満足。アステカ文明にはケツアルコアトルやミクトランテクウトリなど馴染みのある神が多いので見ていて楽しい。ただ,テスカトリポカに関する展示はなかったように思います。それは少し残念なところ。神像はどれもユーモラスな表情のものが多いのですが,アステカの神々の多くが生贄と切り離せない関係にあることを思うと,そのユーモラスな表情がいささか不気味にさえ思えてしまいます。実際に,展示されている頭蓋骨マスクやその頭蓋骨に突き立てられたフリント製ナイフ,それに串刺しにされツォンパントリという台に陳列された頭蓋骨を見ると薄ら寒いものを感じます。最後はインカ文明。インカ文明はマヤやアステカとは異なり,黄金を装飾に用いたものが見受けられます。これはポトシ金山の存在を考えれば十分に納得できるところです。それから他の2つの文明よりも色彩が豊かに思えます。これが何に由来するものなのかは,寡聞にして分かりませんが。イリャと呼ばれるリャマやアルパカの小さな像は存外に可愛らしくて好み。また,好みと言えばマカーナと呼ばれる棍棒の一種やボーラという名の狩猟用具,それに投槍器も展示されており,武器好きにはたまらないものがありました。インカ帝国の展示の最後はミイラ。人間のミイラのみならず,犬のミイラも展示してありましたが,これが結構生々しい。本当に生きているときの姿をそのままに留めているのが不気味でもあり,しかしながら古代の人々の姿をそのままに見ることができるという感動も味わうことができます。
 全体としては非常に満足。やはり,実物が醸し出す迫力と説得力は実際に見てみないと分かりません。オカルト好きとしては水晶髑髏や恐竜土偶,それに黄金の三角翼飛行機の展示も微かに期待していたのですが,さすがにこれは無理だった模様。当然と言えば当然ですが。もっとも,インカ帝国で行われた頭蓋穿孔による開頭手術痕のある頭蓋骨の展示はありました。当時の高度な医療技術を彷彿とさせるものです。
こういう美術展を見るといつも思うのが現地に行ってみたいということ。テノチティトランやテオティワカン,それにマチュピチュといった遺跡の存在は魅力的です。いつか,彼の地を訪れることを心待ちにしたいと思います。
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トプカプ宮殿の至宝展

トプカプ宮殿の至宝展−オスマン帝国と時代を彩った女性たち−
東京都美術館

 幼いころから千一夜物語に慣れ親しんだ身としては,イスラム王朝,特にオスマン帝国は憧れの王朝でした。トプカプ宮殿はそのオスマン帝国の君主が暮らした王宮。高校の時に熱心に受けた世界史の授業を思い出しながら,今回のトプカプ宮殿の至宝展を眺めることにしました。
 東京都美術館を訪れるのは初めてではないはずだけど,前回はどの展覧会を見に来たのか記憶にありません。建物としてもそんなに印象に残るものでもありません。ただ,改めて過去の展覧会を見ると結構好みなものが多いみたい。見逃していたものも多くて,少しばかり悔しさを感じました。
 内容としては4部構成でしたが,オスマン2世像から始まるスルタン周辺の品々が一番興味のあるところ。スルタンたちの花押入りの文書はさすがにアラビア語で書いてあるだけに内容がまるで分かりませんが,それ故に異文化感を存分に味わうことができました。こういうのを見ているとアラビア語が勉強したくなってきます。印章付きの指輪も素敵。また,武器好きとしてはシャムシールやメイス,ハチェットなどの本物の展示に大興奮。宝石で装飾されたシャムシールやダガーなんて実用性はないのだろうけど,千一夜物語でアリババやシンドバッドが手にする姿を容易に想像することができます。ダガーはモルギアナのほうが似つかわしいかな。それから,フリントロック銃の展示も嬉しかった。こちらも金や珊瑚で装飾されており,実用性には乏しそう。それでも,やっぱり格好いい。
 宮廷生活やハレム,それにオスマン朝の栄華を扱った展示では宝石で飾り立てられた装飾品の展示が中心。オスマン帝国の贅を尽した宮廷生活の様子がよく分かります。千一夜物語での印象そのまま。ちなみにこの展示が一番女性陣の注目を集めていました。気持ちはよく分かります。自分が武器の展示に興奮するようなものでしょうから。ただ,逐一日本円で換算しようとするのにはいささか閉口。それはあまりにも俗すぎるのではないかしら。イスラムのトランプなんて珍しいものの展示もありました。どのスートの札なのか,まるで分らなかったけれども。個人的にはこのトランプと水晶製のチェス駒がお気に入り。水晶製のチェス駒は本当に美しいものでした。しかし,どれが王で,どれが女王なのかは外観からはまるで判別できません。チェス盤の位置から分かる程度。偶像を禁止するイスラム教の影響なのかもしれないです。また,イスラムと言えばターバンですが,このターバン飾りや宮廷衣装,王錫の頭部なども非常に雰囲気を醸し出していました。異国情緒漂う,という言葉がそのまま当てはまる感じです。最後は中国からオスマン帝国にわたった青磁や染付など。地味ながらも,オスマン帝国で独自の修復・改造が行われた部分がよく分かり,興味深いものでした。
 感覚が麻痺してしまうほどに黄金と宝石で覆われた美術展でした。オスマン帝国最盛期の栄華を実感することができます。いつか,トプカプ宮殿そのものを訪れてみたいものです。館内に展示してあったイスタンブルの歴史地図を見ていて,その思いが一層強くなりました。とりあえず,図録とトルコ製のお守りを購入。僅かばかりのトルコ気分を味わうことにします。
至るところからバラの香りが漂ってきたのも個人的には雰囲気を高める上で効果的に思えます。好みが分かれそうですけれども,こういった試みも面白いのではないでしょうか。
posted by 森山 樹 at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想