2013年10月26日

みほとけのかたち

〈2013年美術展感想14展目〉
みほとけのかたち
会場:奈良国立博物館
会期:2013.07.20-09.16
観覧料:¥1,000
図録:未購入

 奈良国立博物館で開催された「みほとけのかたち」の感想です。仏像を見るのは好きなのですが,知識はあまりないのが残念。それでも全部で90点を越える仏像或いは曼荼羅図など仏教美術を心行くまで堪能することが出来ました。奈良国立博物館は常設展示の仏像館も見ごたえがあって大好きです。今回の展示は国宝5点,重要文化財42点が揃う貴重なもの。前期と後期で展示物に入れ替えが行われる為にその全部を鑑賞出来たわけではありませんが,それにしても得難い経験でありました。一言で仏像といってもその姿形は千差万別。様々な視点から比較鑑賞出来る今回の美術展は仏像に対する更なる興味や視点を養ってくれたように思います。個人的には元興寺の〈薬師如来立像〉や海住山寺の〈四天王立像〉などがお気に入り。〈薬師如来立像〉のあまりの美しさがたまりません。〈四天王立像〉は四天王それぞれの個性が楽しい。武神としての迫力にも圧倒されます。また,奈良国立博物館収蔵の〈伽藍神立像〉の何処か戯画めいた感じも楽しいです。同じく奈良国立博物館収蔵の〈愛染明王坐像〉もその厳めしい尊顔がたまらない。変わったところでは仏像の中に納入されていた物品の展示もありました。何処かミステリィ的な雰囲気が好みであります。展示の最後に設けられた曼荼羅図なども素敵でありました。残念だったのは〈両界曼荼羅〉が復元模写の展示だったということ。後半の展示だと実物を鑑賞することが出来たのですよね。尤も,後半の展示では見られなかった〈天寿国繍帳〉を見られたのではありましたけれども。実に満足感のある美術展でありました。もう少し仏像に対する知識があれば,なお楽しめたことでありましょう。このあたりは今後の課題にしたいと思います。なかなか全ての芸術分野に通じるということは難しいのですけれどね。関心をもったところから勉強していきたいものであります。
posted by 森山 樹 at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月20日

夢の起源 オディロン・ルドン

〈2013年美術展感想13展目〉
夢の起源 オディロン・ルドン
会場:静岡市美術館
会期:2013.06.29-.8.25
観覧料:¥1,100
図録:未購入

 「ポール・デルヴォー展」と同じく静岡遠征時に鑑賞した美術展です。静岡市美術館も今回初めて訪れた美術館ですが,静岡駅前にある非常に綺麗な美術館でありました。名古屋から充分に日帰り出来る距離ということもあって,今後も美術展によっては遠征することになりそうです。何と言っても,普通に夜19時まで開館しているというのが素晴らしい。オディロン・ルドンと言えば岐阜県美術館の印象が強いのですが,今回の美術展でも岐阜県美術館からの出展が多かったです。ルドンの故郷のボルドー美術館などからの約150点の展示を鑑賞することが出来ました。ルドンと言えば黒一色の怪奇で空想的な世界を描いた作家という印象が強いのですが,晩年に手掛けた色彩溢れる夢幻的な作品もまた魅力的であります。どちらの作風も等しく好み。但し,やはりルドンを代表する黒一色で表現された作品により強く引き寄せられるように思います。特に『夢の中で』や『エドガー・ポーに』或いは『起源』に収録されたリトグラフは格別。物語性を感じさせる奇妙な作品名も楽しいです。『エドガー・ポーに』の〈1.眼は奇妙な気球のように無限に向かう〉や〈3.仮面は弔いの鐘を鳴らす〉などは作品名だけで強烈に想像力を刺激されてしまいます。或いは『聖アントワーヌの誘惑』を題材とした一連の作品もまた空想動物好きとしてはたまりません。晩年に手掛けた色彩豊かな作品には静物画など多彩な分野が示されるのが面白い。〈神秘的な対話〉や〈聖母〉など神秘的な作品もいいのですが,やはり〈アポロンの戦車〉,〈ペガサスに乗るミューズ〉などギリシア神話を由来とする作品がよりお気に入りではあります。〈若き日の仏陀〉というのもなかなか珍しい題材ではないでしょうか。改めて自分が奇想の作家としてのオディロン・ルドンが好みであるということを痛感した美術展でありました。彼の生み出した夢の世界を存分に堪能出来て大満足であります。ルドンの美術展は積極的に鑑賞したいものですね。
posted by 森山 樹 at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月19日

ポール・デルヴォー展

〈2013年美術展感想12展目〉
ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅
会場:浜松市美術館
会期:2013.06.01-07.15
観覧料:¥1,000
図録:未購入

 静岡県の浜松市美術館で開催された「ポール・デルヴォー展」の感想です。「ポール・デルヴォー展」は岡崎市で開催されていた時に行きたかったのですが結局行けなかったのですよね。浜松市もそれ程遠くないので重畳でありました。なお,浜松市美術館は今回が初めて。浜松駅からそれなりに遠いのが難点ではありますが,浜松城公園の中にあるので立ち寄り易いとは思います。施設はちょっと古い感じだったけれどね。ポール・デルヴォーはシュルレアリスムを代表する作家。即ち,自分にとっては愛すべき作品が並ぶ美術展でありました。出展数は約100点。その半数以上が日本初公開ということが非常に嬉しい。ポール・デルヴォーの作品の静寂に包まれた冷たい雰囲気を愛してやみません。彼の作品に繰り返し登場する列車や鏡,ランプといったモティーフもたまらなく好み。或いはギリシアやローマの古代建築を思わせる世界観も素敵に心を捕えます。特に気に入った作品はやはりポール・デルヴォーの魅力が存分に詰まった「トンネル」や「エペソスの集いII」など。特に「トンネル」で描かれる幻想的な女性たちはあまりにも美しい。ポール・デルヴォーが描いた夢の世界の虜になってしまいます。なお,今回の美術展は習作の展示が多いのも特徴的であります。習作が如何に作品に反映されるのかという意味においても興味深いものがありました。また,ポール・デルヴォーのアトリエに残されていた列車やランプの模型の展示も面白いですね。最初の油彩画から晩年に至るまでのポール・デルヴォーの夢と幻想の軌跡を辿る素敵な美術展でありました。あまりの濃密な内容に過呼吸を起こしそうになった程であります。やはりシュルレアリスムは自分の愛し追い求める美術領域のひとつ。今後も機会を逃さないように美術展を訪れようと思います。
posted by 森山 樹 at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月14日

アートに生きた女たち

〈2013年美術展感想11展目〉
アートに生きた女たち
会場:名古屋ボストン美術館
会期:2013.05.25-09.29
観覧料:¥1,200
図録:未購入

 19世紀から20世紀にかけて活躍した女性芸術家の作品に焦点を当てた美術展です。名古屋ボストン美術館は何度も行った美術館ですが,相変わらず来館者が少なくて不安になります。交通の便もいいし,素敵な美術展も多いのですけれどね。何が問題なのかなあ。今回の展示は絵画に留まらず,写真や陶磁器,宝飾,彫刻など多岐に渡る分野からの80点弱。芸術鑑賞において特段男女の性差ということを意識したことはないのですが,今回の美術展を鑑賞してもやはり自分にはその差が理解出来ませんでした。単純に自分の芸術的な素養のなさかもしれませんけれども。様々な分野の作品が展示されていましたが,やはり個人的には絵画が一番心を惹かれます。殊にマリ・アントワネットに愛されたフランスのヴィジェ=ルブランの「若い女の肖像」は特に印象的であります。まあ,ヴィジェ=ルブラン自身は18世紀の画家なのでこの美術展の趣旨からは若干離れるのですけれども。女性芸術家の先駆けとしては欠かすことが出来ない人物であります。また,カサットとドガ,モリゾとマネ,或いはオキーフとスティーグリッツといった交流のある男女の芸術家の作品が展示されていたのは面白かった。互いに与えた影響まではきちんとは理解出来ていないのだけれども。後はやはりマリー・ローランサンの作品は大好きであることを実感します。〈三人のクレオールの女たち〉の可憐な美しさが印象的でありました。ウィリアム・マクレガー・バクストンの〈新しい首飾り〉も良かったなあ。殆どの女性芸術家は今回初めての鑑賞となりましたが充分に楽しめました。あまりこの手の視点から芸術を鑑賞することはないので意外に新鮮です。今後ちょっと意識して鑑賞しようという動機づけとなる美術展でありました。
posted by 森山 樹 at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月12日

幽霊妖怪画大全集

〈2013年美術展感想10展目〉
幽霊妖怪画大全集
会場:大阪歴史博物館
会期:2013.04.20-06.09
観覧料:¥1,200
図録:未購入

 幽霊や妖怪と聞いては絶対に鑑賞したくなるのが我が身ながら救い難いところ。そんなわけで大阪歴史博物館で開催された「幽霊妖怪画大全集」を鑑賞しました。大阪歴史博物館は初めてだったのですけれど,大阪城直ぐ近くにこんな大きな博物館があったとは知りませんでした。今回の展示は幽霊画と妖怪画合わせて160展という充実した内容ですが,前期後期で一部展示の入れ替えがあった為に全部を鑑賞出来たわけではありません。個人的には幽霊画は非常に充実していて楽しめました。円山応挙や谷文晁,河鍋暁斎,歌川国芳らの作品は特に印象的でありました。我ながら悪趣味ではありますが,所謂残酷絵に近いものほど心惹かれる傾向を感じます。改めて河鍋暁斎や歌川国芳が大好きであることを再認識いたしました。一方で妖怪画は数は多いもののいまひとつという感じが否めず。妖怪画にも関わらず,鳥山石燕の作品がないというのは点睛を欠いているように思います。歌川国芳や月岡芳年らの作品が多かったのは嬉しかったけれども。日本の伝承の中に根付く妖怪の魅力が素晴らしいものがあります。特に歴史上或いは伝説上の英雄と妖怪との逸話を描いた浮世絵は自分にとって最高の作品であります。付喪神は見ていて楽しいのだけど,背景がどうしても薄いのですよね。伊藤若冲の〈付喪神図〉もいいのだけど,やっぱり自分は歌川国芳の〈相馬の古内裏〉に心を惹かれます。勿論,円山応挙作と伝えられる〈幽霊図〉にも魅せられましたけれどね。全体的に子供向けという印象は否めませんが,それはそれで悪くないかなあ。大人向けの解説も欲しかったところではありますけれども。何はともあれ,非常に満足度の高い美術展でありました。やっぱり幽霊や妖怪は大好きなのです。
posted by 森山 樹 at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月08日

森と湖の国 フィンランド・デザイン

〈2013年美術展感想9展目〉
森と湖の国 フィンランド・デザイン
会場:大阪市立東洋陶磁美術館
会期:2013.04.20-07.28
観覧料:¥1,000
図録:未購入

 大阪市立東洋陶磁美術館で開催された「森と湖の国フィンランド・デザイン」の感想です。大阪市立東洋陶磁美術館は訪れるのは本当に久しぶり。常設展はひたすらに陶磁ばかりであります。最初は面白く鑑賞していたのですが,最後の方はすっかり摩耗して,何を見ても同じに感じたことを思い出します。懐かしい。まあ,今回は常設展は鑑賞していないのですが。改めて鑑賞すると違った感慨を抱くかもしれません。今回の「森と湖の国フィンランド・デザイン」の中心となるのは所謂生活工芸。自分にとってはそれ程関心のない分野です。展示数はガラス器と陶磁器を合わせて約150件。主に18世紀後半から現代に至るフィンランド的なデザインを堪能することが出来ました。勿論,全く知識に欠ける自分ではありますが,それでもそれなりに楽しめるのが素敵。もともとフィンランドという国自体がたまらなく好きなこともありますが,彼らが作りだす洗練された生活工芸品そのものが実に魅力的。厳しい気候の中で室内で過ごす時間を楽しむ為の精神的な豊かさの追求と発露を感じます。こういった洗練された意匠で毎日の暮らしを彩るフィンランドの生活に思わず憧れてしまいます。ミュージアム・ショップではフィンランドを代表するキャラクター,ムーミントロールのグッズも多数揃えられており,その意味でも楽しめました。いつか,フィンランドには実際に行ってみたいですね。なんなら永住しても構わないのだけどなあ。
posted by 森山 樹 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月06日

上村松園展

〈2013年美術展感想8展目〉
上村松園展
会場:名古屋市美術館
会期:2013.04.20-06.02
観覧料:¥1,300
図録:未購入

 名古屋市美術館で開催された「上村松園展」の感想です。名古屋市美術館の開館25周年記念の美術展でもあります。名古屋市美術館は愛知県美術館と並んで最も多く訪れる美術館のひとつ。今後とも素敵な美術展を企画して欲しいものであります。「上村松園展」はその意味では当初あまり関心はありませんでした。元来,西洋画嗜好が強く日本の近代画には然して興味がないのですよね。今回,「上村松園展」を訪れたのも時間潰しの意味合いが強かったのですが,鑑賞してみると存外に楽しむことが出来ました。何よりも美人画が中心というのが自分にとっては非常に好み。また,〈静御前〉や〈楊貴妃〉,〈紫式部〉,〈伊勢大輔〉ら歴史上或いは伝説上に名を残す美女を描くという題材的にも心惹かれるものを感じます。殊に月を見上げる〈紫式部〉はあまりにも美しい。王朝美人,唐美人の作品は何よりも印象に残りました。舞い散る紅葉の中に佇む美女を描いた〈花がたみ〉も素晴らしい。日本近代画には明るくない為に背景的なものを知らないのは残念でありましたが,それでも繊細で上品な美人画を多数堪能することが出来ました。改めて日本近代画についても今後知識を深めて行きたいと思わせる,その契機となりそうな美術展でありました。実に満足であります。
posted by 森山 樹 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2013年10月04日

2013年10月美術展鑑賞予定

現在開催中の興味ある美術展は以下の通り。
【関東】
素朴派とアウトサイダーズの世界@世田谷美術館(09.14-11.10)
トスカーナと近代絵画@損保ジャパン東郷青児美術館(09.07-11.10)
ミケランジェロ展@国立西洋美術館(09.06-11.17)
興福寺仏頭展@東京藝術大学美術館(09.03-11.24)
笑う浮世絵@太田記念美術館(10.01-11.26)
ウィリアム・モリス@府中市美術館(09.14-12.01)
京都 洛中洛外図と障壁画の美@東京国立博物館(10.08-12.01)
明治のこころ@江戸東京博物館(09.14-12.08)
古代の楽園−神話,来世,桃源郷……@古代オリエント博物館(10.05-12.08)
モローとルオー@パナソニック汐留ミュージアム(09.07-12.10)
ターナー展@東京都美術館(10.08-12.18)
印象派を超えて@国立新美術館(10.04-12.23)
マルコ・ポーロとシルクロード世界遺産の旅@東洋文庫ミュージアム(08.07-12.26)
カイユボット展@ブリヂストン美術館(10.10-12.29)
近代への眼差し 印象派と世紀末美術@三菱一号館美術館(10.05-.01.05)
【東海】
エミール・クラウスとベルギーの印象派@碧南市藤井達吉現代美術館(09.14-10.20)
歌仙 王朝美人への憧れ@徳川美術館(09.28-11.04)
斎宮誕生@斎宮歴史博物館(10.05-11.10)
【近畿】
貴婦人と一角獣展@国立国際美術館(07.27-10.20)
北魏 石造仏教彫刻の展開@大阪市立美術館(09.07-10.20)
ミュシャの横顔@アルフォンス・ミュシャ館(07.13-11.10)
ヴィクトリア時代の室内装飾@LIXILギャラリー大阪(08.25-11.19)
京都・美のタイムカプセル@京都文化博物館(09.12-12.01)
海@京都大学総合博物館(07.31-12.01)
仏の美術@泉屋博古館(09.07-12.20)

特に東京の美術展の充実度が素晴らしい。
今月か来月には必ず遠征をしようと思います。
どれも見逃したくない美術展ばかりなのですよね。
財政的には厳しいですが,興味を優先させたいと思います。
見逃したくないと言えば大阪の「貴婦人と一角獣展」。
此方も会期終了が迫っているので急がないといけません。
ついでに京都辺りにも行けたらいいのですけれどね。
残念ながら東海地方では目ぼしい美術展に欠けています。
何処も「愛知トリエンナーレ」からみの展示ばかりですからね。
現代芸術にそれ程関心のない身には辛いものがあります。
posted by 森山 樹 at 07:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 鑑賞予定

2013年10月01日

2013年9月美術展鑑賞記録

2013年9月に鑑賞した美術展・博物展は以下の通り。
世界を変えた書物展@名古屋市科学館

8月に美術展鑑賞を多数行った反動か,今月はひとつだけ。
近場であまり行きたいと思わせるような美術展がなかったのですよね。
大阪の「貴婦人と一角獣展」は早めに行きたいところですけれど。
そんなわけで,9月は「世界を変えた書物展」のみ。
金沢工業大学所蔵の稀覯書を鑑賞することが出来ます。
ダーウィンの『種の起源』やコペルニクスの『天体の回転について』などの展示が素敵。
科学史を愛好する者にとって見逃すことは出来ません。
「チャレンジャー爆発事故報告書」なんて展示には驚きましたが。
これだけの展示を常設展の鑑賞料金で見られるのが素晴らしいです。
古い欧州の本の装丁を楽しむという観点からも素敵。
良い美術展でありました。

漸くたまっていた感想に着手することが出来ました。
今月も少しずつ感想を掲載していきたいと思います。
なるべく早めに追いついて即時更新と行きたいものです。
posted by 森山 樹 at 06:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展鑑賞記録

2013年09月23日

「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」感想

〈2013年美術展感想7展目〉
プーシキン美術館展 フランス絵画300年
会場:愛知県美術館
会期:2013.04.26-06.23
観覧料:¥1,300
図録:未購入

 モスクワにあるプーシキン美術館が誇るフランス絵画の所蔵品を紹介する美術展です。今回の展示はその名の通りに17世紀から20世紀前半までのフランス絵画300年の歴史を約70点の展示から追うというもの。このように年代別に展示されると自分の嗜好がはっきりと分かります。17世紀の古典主義やロココから18世紀の新古典主義やロマン主義は大好きなのですが,19世紀に入ると印象派や自然主義はともかくポスト印象派からは関心が薄れ,20世紀美術ではシュルレアリスム以外には殆ど興味がなくなってしまいます。今回の美術展でも19世紀後半以降の作品はあまり心惹かれませんでした。マリー・ローランサンとかマルク・シャガールは別ですけれどね。やはり心を奪われるのは17〜18世紀にかけての作品ばかり。特にフランソワ・ブーシェ≪ユピテルとカリスト≫やジャック=ルイ・ダヴィッド≪ヘクトルの死を嘆くアンドロマケ≫などギリシア神話を題材とした作品は強く印象に残ります。また,ユベール・ロベールの≪ピラミッドと神殿≫も大好き。今回が日本初公開となるピエール=オーギュスト・ルノワールの≪ジャンヌ・サマリーの肖像≫が見せる幸福感溢れる表情にも魅せられます。薔薇色の頬で微笑むジャンヌ・サマリーの華やいだ雰囲気がたまらないです。他にもドラクロワやコロー,ミレーの作品も素敵でした。これがセザンヌやゴッホ,マティスになってくると良さが分からなくなってくるのが不思議。単に自分に美術の素養に欠けている為に理解が出来ないだけでありましょう。好き嫌いだけでしか美術を語れない身が恨めしく思えます。何はともあれ,実に見応えのある美術展でありました。フランス絵画を歴史から追うという試みも面白かったです。プーシキン美術館は約70万点の所蔵品を抱えるとのこと。いつか実際に足を運んでみたい美術館です。こうして行きたい美術館だけが増えて行くのですよね。
posted by 森山 樹 at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想